α-リノレン酸Alpha-linolenic acid

エゴマ

成分の解説

基本情報

α-リノレン酸は植物油に含まれる脂肪酸の一種であり、n-3系脂肪酸(ω-3脂肪酸)に分類されます。青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)も同じn-3系脂肪酸です。α-リノレン酸は栄養学において、摂取することが必須とされる必須脂肪酸であり、人間の体内で合成することができないため、食品として摂取する必要があります。
α-リノレン酸を多く含む植物の種子は、エゴマ(シソ科の植物)、アブラナ(キャノーラ)、大豆、亜麻などがあり、特にエゴマに多く含まれます。
α-リノレン酸を摂取すると、体内でDHAやEPAに合成されますので、間接的にDHAやEPAを補給することも可能です。なお、α-リノレン酸からDHAやEPAに合成される割合は、10~15%程度となります。

【参考】成人男性一日当りn-3系脂肪酸摂取目標量:2.1g以上/日(厚生労働省策定「日本人の食事摂取基準(2010年版)

リノール酸とα-リノレン酸

リノール酸はn-6系脂肪酸(ω-6脂肪酸)に分類される必須脂肪酸ですが、あらゆる植物油に多く含まれるので、通常の食生活をしていれば欠乏することはまずありません。リノール酸の長所としてコレステロールの低下作用がありますが、効果が一時的であり、長期に渡って摂りすぎると逆に上昇してしまいます。また、体内に入るとアラキドン酸が合成され、これが過剰になるとガンや心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、アレルギー、認知症などの病気の原因となってしまします。このリノール酸の悪い働きを抑える効果があるのが、α-リノレン酸などのn-3系脂肪酸です。

注意事項

α-リノレン酸は酸化しやすく、酸化した脂肪酸は動脈硬化や老化などの原因となり、人体に悪影響を及ぼしますので、α-リノレン酸を含む植物油は、開封後早めに使い切ることが大切になります。また、熱にも弱い性質があるため、炒め物・揚げ物などの加熱調理よりも、ドレッシングなどの非加熱調理に向いています。
しかし、α-リノレン酸を含む植物油に、熱に強くて酸化されにくい性質のあるオレイン酸を多く含む植物油(椿油、オリーブ油等)とブレンドすることによって、α-リノレン酸自体も酸化されにくくなり、熱にも強くなるので、炒め物・揚げ物などの加熱調理にも利用することができるようになります。

期待される効果

血栓防止・血流改善効果

α-リノレン酸は、中性脂肪を低下させる作用、血小板の凝集を抑えて血栓の発生を防ぐ作用、また血液をサラサラにして末端の血流を良くする作用があるので、高脂血症や高血圧、脳梗塞、脳卒中、心疾患などの予防に効果があります。

脳の働きを高める効果

体内でα-リノレン酸から合成されるDHAやEPAは血液をサラサラにする効果があり、またDHAは脳細胞の必要成分であるので、脳細胞を活性化する働きがあります。

活性酸素の抑制効果

活性酸素は、血流が悪くて酸素が末端組織に十分に行き渡らない場合や、炎症が持続するときに多く発生しますが、α-リノレン酸は末端の血流を改善し、炎症も抑えるので、活性酸素の発生が抑制されます。活性酸素による細胞の損傷を防ぐことによって、様々な病気や老化の進行を防ぐ効果が期待されます。

認知症の予防効果

認知症には「血管型」と「アルツハイマー型」があり、α-リノレン酸はその両方の予防に効果があります。
「血管型」は、血栓や出血によって脳の一部が損傷することによって発症しますが、α-リノレン酸には血小板の凝集を抑えて血栓を防ぐ効果があり、また脳出血の発症を遅らせる効果があります。
「アルツハイマー型」は、リノール酸の過剰摂取によって体内に作られたアラキドン酸が、炎症性のあるエイコサノイドに変化し、それが脳細胞に炎症を起こして死滅させることが発生要因の一つであると考えられています。α-リノレン酸はその炎症を抑える働きがあります。