L-カルニチンL-Carnitine
成分の解説
基本情報
L-カルニチンはアミノ酸の一種で、体内では必須アミノ酸であるリジンとメチオニンから肝臓や腎臓で合成され、主に筋肉細胞に蓄積されています。
植物油や動物脂の大部分は長鎖脂肪酸で構成されています。長鎖脂肪酸を細胞内のミトコンドリアに運ぶ働きがあるのがL-カルニチンであり、ミトコンドリアに運ばれた長鎖脂肪酸は、クエン酸回路によって代謝されてエネルギー(ATP)に転換され、ここで初めて人体の活動源として消費されます。
長鎖脂肪酸単体ではミトコンドリアに入ることができないので、L-カルニチンが不足すると長鎖脂肪酸はミトコンドリアに運ばれなくなり、消費されなかった長鎖脂肪酸は中性脂肪に変化し、白色脂肪細胞(主に皮下組織・内臓に分布)に蓄えられて細胞が膨張し、皮下脂肪や内臓脂肪が増加します。
加齢との関係
L-カルニチンの体内量は30歳を超える頃から徐々に減少するので、加齢と共に長鎖脂肪酸が消費されにくくなります。従って、中年期以降に太りやすくなる要因として、L-カルニチンの不足が関係していると言えます。
L-カルニチンを含む食品
L-カルニチンは食事摂取によって体内に補給することが可能で、L-カルニチンを多く含む食品は、羊肉や鹿肉、牛肉などの反芻動物の赤身肉です。豚肉や鶏肉にも含まれますが、豚肉は牛肉の3分の1、鶏肉は牛肉の6分の1程度の含有量となっています。
体内で使用されるL-カルニチンは、4分の1が体内合成、残り4分の3が食事からの補給でまかなっていると言われているので、肉類からの積極的な摂取が必要となってきます。」
脂質(油脂類)の構造と脂肪酸の分類について
食品として摂取する脂質(油脂類)は、基本的にグリセリン1個に脂肪酸3個が結合した構造となっています(グリセリンに脂肪酸が1個又は2個のみ結合したものも微量に含まれます)。食事で摂取された脂質は十二指腸や小腸内でリパーゼによって分解され、脂肪酸とグリセリンに分離されます。
脂肪酸は炭素原子の数によって、短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸の3種類に分類されます。
1.短鎖脂肪酸(炭素数4個以下):短鎖脂肪酸には酢酸、プロピオン酸、酪酸などがあり、大腸及び肝臓で速やかにエネルギー源として利用され、体脂肪として蓄積されません。また、腸内環境を整えたりする効果があるなど健康にも有用です。短鎖脂肪酸はバターに含まれています。
2.中鎖脂肪酸(炭素数5~11個):中鎖脂肪酸にはカプリル酸、カプリン酸などがあり、直接肝臓に運ばれて速やかにエネルギー源として利用され、体脂肪として蓄積されません。また、体内で糖が少なくなるとケトン体に変換され、糖に代わる活動エネルギー源になります。ケトン体には、がんを誘発するβ-グルクロニターゼと呼ばれる酵素の活性を低下させる効果もあります。中鎖脂肪酸は、ココナッツオイルやヤシ油などに含まれています。
3.長鎖脂肪酸(炭素数12個以上):大部分の植物油や動物脂(牛脂、ラード等)、人工的に作られたトランス脂肪酸(マーガリン・ショートニング等)を構成している脂肪酸です。長鎖脂肪酸は肝臓で直接利用できず、一旦細胞内に運ばれて中性脂肪として貯蔵した後にゆっくりと利用されるため、エネルギーとして利用される効率が悪く、摂り過ぎは体脂肪の蓄積による肥満に繋がり、健康に悪影響を及ぼします。
●ミトコンドリアでの脂肪酸の代謝については、短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸はそのまま直接ミトコンドリア内に入ることができますが、長鎖脂肪酸については直接ミトコンドリアに入ることができず、L-カルニチンと結合することによってミトコンドリア内に入ることができます。
L-カルニチンサプリメントの留意点
L-カルニチンはサプリメントとして販売されておりますが、L-カルニチン単体では吸湿性が高いため、酒石酸等でL-カルニチンをコーティングし、吸湿性を無くしたものがほとんどです。
コーティングされたL-カルニチンは活性を失っており、長鎖脂肪酸をミトコンドリアに運ぶという機能が発動されません。従って、殆どのL-カルニチンサプリメントは、服用したとしても効果が全く得られないということになります。
ごく一部、コーティングをしていない原料そのままのL-カルニチンサプリメントも存在し、その場合は効果が十分に発揮されます。原料そのままのL-カルニチンは吸湿すると液体化するので、開封後は容器をきちんと密封して冷暗所に保管し、なるべく早く使い切るのが望ましいです。
摂取量の目安
1日当り0.5g~2g程度
期待される効果
肥満防止効果
L-カルニチンの摂取により、食事で摂取された脂肪(長鎖脂肪酸)が効率良くミトコンドリアに運ばれて燃焼されるため、体脂肪として蓄積されにくくなり、肥満を防止することができます。
中性脂肪の減少効果
L-カルニチンの摂取により、体内に蓄積された中性脂肪がミトコンドリアに運ばれて燃焼されるため、中性脂肪を減少させることができます。
なお、やせ型の人でも血液検査によって中性脂肪値が高い(いわゆる隠れ肥満)場合がありますが、そのような方の中性脂肪値の減少にもL-カルニチンは最適です。
疲労感・だるさを減少させる効果
L-カルニチンが不足している状態であると、脂肪が効率よく燃焼されず、人体の活動源となるエネルギーを十分に生むことができなくなるため、慢性的な疲労感やだるさを感じるようになります。L-カルニチンを摂取することにより、脂肪燃焼が持続的に行われ、人体の活動エネルギーが常に発生するようになるので、疲労感やだるさが減少します。L-カルニチンの継続摂取により体内量を高い状態に保てば、疲れにくい体質となり、体も軽くなっていきます。
細胞の新陳代謝促進・美肌効果
L-カルニチンの摂取により、細胞内に停滞している脂質の新陳代謝が促進されて新しい脂質に入れ替わるので、細胞が若返る効果があり、美肌効果も期待されます。
<参考記事>
- 知っとうや2「中年太りを解決する方法!(L-カルニチン)」
https://ameblo.jp/calseed/entry-12379677790.html