自然海塩Natural sea salt

自然海塩

成分の解説

基本情報

塩田で天日や風の力を利用して海水を濃縮し、釜で煮詰めて結晶化したものや、天日で結晶化させたもので、海水由来のにがり成分(ミネラル分)を多く含みます。

塩田における製塩方法

塩田における製塩方法には大きく分けて2種類があります。

  1. 天日塩田
    海水を天日や風のみで蒸発させて結晶化し、採塩する方式です。雨量の少ないメキシコやオーストラリア西部などで大規模に行われています。
  2. 採鹹(さいかん)塩田
    海水を天日で蒸発させて鹹水(かんすい(濃い濃度の塩水))を作り、鹹水を煎熬(せんごう(煮詰めること))して結晶化し、採塩する方式です。日本でかつて行われていた塩田方式であり、江戸時代から昭和30年代まで行われた入浜式塩田方式や、昭和20年代~40年代まで行われていた流下式塩田方式があります。昭和47年に工業的な製塩方式であるイオン交換膜製塩法が導入され、日本の塩田は事実上廃止されました。

入浜式塩田方式

入浜式塩田方式は江戸時代前半に開発され、その名の通り遠浅の海岸に塩田を造り、塩の干満を利用して塩田に海水を取り込み、天日で水分を蒸発させて鹹水を得る製塩方法です。塩田の砂層に取り込まれた海水は毛細管現象で表面に集まり、天日や風で水分が蒸発して砂に塩が付着し、それを沼井(ぬい)と呼ばれる桝に集め、海水をかけて砂に付いている塩を溶かし、鹹水を作ります。その鹹水を煮詰め、結晶化した塩を採取します。この方法で採取した塩は、他の製塩方式よりも格段にミネラル分が含まれ、味もとてもまろやかです。入浜式塩田方式は昭和30年代まで続きましたが、効率性の良い流下式塩田方式に移行していきました。

流下式塩田方式

流下式塩田方式は昭和20年代に開発され、砂の代わりに立体的な枝状の装置(枝条架(しじょうか))を利用して鹹水を得る製塩方法です。緩やかな傾斜の粘土盤の斜面に海水を流して水分を蒸発させて濃縮し、これをポンプで汲み上げ、枝条架上部に散布し(※枝条架とは、竹や細いビニール管をまとめてホウキのような枝状にし、幾層にも集めて棚状にまとめたものです)、鹹水層に溜めます。これを再度汲み上げて枝条架に散布することを繰り返すことによって濃縮し、鹹水を作ります。その鹹水を煮詰め、結晶化した塩を採取します。この方法の採用により、入浜式塩田方式よりも生産性が向上しましたが、昭和47年に工業的に大量生産が可能なイオン膜交換法へ完全に移行し、廃止されました。

イオン交換膜法による製塩

海水をイオン交換膜と電力を利用して鹹水を作り、真空式蒸発缶で煮詰めて製塩する方法です。昭和47年より導入され、従来の塩田は事実上全て廃止になりました。イオン交換膜法は短時間で大量の製塩が可能ですが、イオン交換膜法で作られた塩は、海水に含まれるミネラル分が殆ど取り除かれるため、塩辛いだけの塩化ナトリウムのみの結晶になります。
昭和47年以降、日本人はミネラルの無い塩を食べてきたために体に悪影響を与え、病気になりやすい状態になってきました。高血圧症が増加の傾向にあるのは、塩田廃止が原因であると言っても過言ではありません。

塩の専売制廃止による自由化

国は2002年4月より塩の専売制を廃止し、自由化しました。これにより財務省へ届け出すれば塩の製造・販売が可能になりました。その結果、全国各地で製塩に参入する業者が増え、流下式塩田方式や海水をそのまま煮詰めて作る平釜式製塩、海水を噴霧乾燥して作る噴霧製塩などによって作られた、ミネラル分を含む塩を利用する人も増えてきました。しかし、最高の製塩方法である入浜式塩田方式は、日本では現在でも禁止されています。

海と土のミネラルを両方摂ることが重要

本来塩は、海水中のミネラル分を摂るための調味料であり、砂糖は、土中のミネラルを摂るための調味料でありましたが、現代ではどちらも精製されており、人体に必要なミネラル分が殆ど取り除かれています。古来使用されてきた塩田方式によって作られた塩や含蜜糖を用いることによって、土と海の性質が異なるミネラルを両方摂取することができ、バランスの取れた健康な肉体になると考えられます。

期待される効果

体内での酵素の働きをサポートする作用

酵素とは、生物が物質を消化・吸収・輸送・代謝・排泄を行うための化学反応において、触媒として機能する分子で、生命維持には欠かせないものですが、酵素の働きをサポートする物質として補酵素があり、それにはビタミン類とミネラル類が当てはまります。自然海塩には海水由来のミネラルがバランス良く含まれていますので、補酵素となるミネラル分を補給することができます。

細胞の機能を正常に保つ作用

人間の体は60億個もの細胞で構成されていますが、生命活動を維持していくには、細胞の機能を正常に保つ必要があります。細胞には細胞壁があり、細胞の中と外は水分で満たされていますが、ナトリウムは細胞外の水分中に、カリウムは細胞外の水分中に存在し、これらの濃度をバランス良く調節することにより、細胞の水分量や機能が保たれることになります。従いまして、ナトリウムやカリウム濃度のバランスが崩れると、細胞の機能が正常に働くことができなくなります。天然海塩にはナトリウムとカリウムがバランス良く含まれていますので、細胞の機能を正常に保つ作用があると考えられます。

歯周病・口臭予防

歯周回りを塩でマッサージすると、殺菌効果と引き締め効果で歯周病と口臭の予防になります。

うがいによるのどの殺菌

塩水でうがいすることにより、塩の殺菌効果でウィルスの感染予防になります。

<参考記事>