きび砂糖(黒砂糖)Unrefined cane sugar

きび砂糖

成分の解説

基本情報

きび砂糖とは、さとうきびの搾り汁を煮詰めて結晶化したものです。精製されていませんので、黒砂糖と同様に、さとうきびが土から吸い上げたミネラル分を多く含みます。

含蜜糖と分蜜糖について

砂糖は、糖蜜を含むかどうかで含蜜糖と分蜜糖の2種類に分かれます。
糖蜜とは、原料(さとうきび、てんさい等)から砂糖を精製する際に出る副産物のことで、廃糖蜜ともよばれ、糖分やミネラル分を含んだ黒褐色の液体です。
糖蜜を含む含蜜糖の代表的なものは黒砂糖で、きび砂糖や和三盆も含まれます。糖蜜にはミネラル分が多く含まれるため、茶褐色系の色合いになります。
分蜜糖の代表的なものは、グラニュー糖や上白糖などの白砂糖です。糖蜜を取り除いて糖分のみを分離したもので、ミネラル分をほとんど含んでいないので、白色を呈しています。現代の日本における砂糖の主流は上白糖になっており、国内消費の半分以上が上白糖を占めています。
なお、三温糖などの様に茶褐色を呈した分蜜糖もありますが、これは砂糖の精製工程で上白糖やグラニュー糖を取り出して残った糖液を更に煮詰めて結晶化する工程を5~6回繰り返した後に、カラメル化して茶色くなった糖液から作られたものです。もしくは白砂糖をカラメル色素で色付けしたものです。従いまして、ミネラル分はほとんど含まれません。

分蜜糖(上白糖、グラニュー糖等)の摂りすぎによる体への悪影響

ミネラル分をほとんど含んでいない上白糖やグラニュー糖などの分蜜糖は、同じくミネラル分を含まない精製塩と同様、食べすぎると体に悪影響を及ぼします。現代の日本人に2型糖尿病が多いのも、分蜜糖に起因している可能性が高いと考えられます。ミネラルを含まない砂糖や食塩ばかりを摂りすぎると体調を崩し、成人病に繋がる原因になると考えられます。
戦後は、ミネラル分を多く含む黒砂糖などの含蜜糖の消費は衰退していき、見た目が美しい上白糖が大半を占めるようになりましたが、近年になり2型糖尿病をはじめとする各種成人病の発生率が次第に高くなったことと無関係ではないと考えられます。

土と海のミネラルを両方摂ることが重要

本来砂糖は、土中のミネラル分を摂るための調味料であり、塩は、海水中のミネラル分を摂るための調味料でありましたが、現代ではどちらも精製されており、人体に必要なミネラル分が殆ど取り除かれています。古来使用されてきた含蜜糖や塩田方式によって作られた塩を用いることによって、土と海の性質が異なるミネラルを両方摂取することができ、バランスの取れた健康な肉体になると考えられます。

期待される効果

体内での酵素の働きをサポートする作用

酵素とは、生物が物質を消化・吸収・輸送・代謝・排泄を行うための化学反応において、触媒として機能する分子で、生命維持には欠かせないものですが、酵素の働きをサポートする物質として補酵素があり、それにはビタミン類とミネラル類が当てはまります。黒砂糖には土由来のミネラル類とビタミン類がバランス良く含まれていますので、補酵素となるミネラル分とビタミンを補給することができます。

コレステロールや中性脂肪の低下作用

琉球大学の研究で、黒砂糖にはコレステロールや中性脂肪を低下する作用があることが分かり、これは黒砂糖に含まれるワックス成分であるオクタコサノール(さとうきびの茎の表皮にある脂質成分)による働きであると考えられています。

血糖値の上昇を緩やかにする作用

黒砂糖には、糖の吸収を抑える働きがあるフェニルグルコシド、色素成分であるコクトオリゴ、天然オリゴ糖の一種であるラフィノースという成分が含まれていますので、血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待されます。

脳の活性化作用

黒砂糖に含まれているブドウ糖は、脳のエネルギー源であり、脳は1日約150gものブドウ糖を消費します。ブドウ糖が不足すると集中力が低下したり、イライラしたりしますので、黒砂糖を摂ることによってブドウ糖を脳に補給し、脳を活性化する効果が期待されます。

血圧降下作用

黒砂糖にはカリウムが多く含まれており、カリウムにはナトリウムを伴って尿に排泄する作用があり、血圧降下作用があると言われています。

整腸作用

黒砂糖に含まれるワックス成分であるオクタコサノールは、便の滑りを良くし、排便を促進する作用があると考えられています。また、天然オリゴ糖の一種であるラフィノースは、腸内の善玉菌を増殖させる作用がありますので、整腸作用が期待されます。

<参考記事>