ルテイン

ルテインはカロテノイドの一種で、ほうれん草やブロッコリー、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜やマリーゴールドの花弁に含まれている黄色の色素であり、強い抗酸化作用を持っています。ルテインは人体中の目の中の黄斑部や水晶体、皮膚、大腸などに存在していますが、体内では作り出すことができず、外部から摂取する必要がある栄養素の一つです。特に、目の黄斑部に多いことより、眼の栄養素ともいわれています。

可視光線とブルーライト

人間は太陽の光をはじめ様々な光・電磁波を浴びています。そのうち、約400~800nmの範囲の目で見える光を「可視光線」といいます。可視光線は、瞳にはいると、水晶体(レンズ)を通過し、眼球の奥の網膜の黄斑部に届き視神経に信号を送り、色を認識します。

可視光線のうち、波長が短く(約400~500nm)、エネルギーが大きいものに「ブルーライト」があります。ブルーライトは、液晶テレビ、パソコン、スマートフォン、LEDライトなど、身近なものから発生しています。ブルーライトは、波長が短くエネルギーが大きいことより、網膜への影響が大きいといわれています。パソコン、スマートフォンは現代人にはかかせないものですが、長時間画面を見ることで、目の細胞にダメージを与えます。ブルーライトをカットするスクリーンや、フィルム、メガネなどを利用することも必要です。

目は、まぶたを開けると常に光にさらされています。日中の紫外線、さまざまな機器からのブルーライト。現代人の目は常に光刺激を受け、活性酸素(※過剰になると細胞を損傷するといわれています。下記参考あり)が発生しやすい環境にあります。このとき、黄斑部や水晶体に存在している「ルテイン」の抗酸化作用が働きます。

 

その他特記事項

加齢により体内のルテイン量は減少するといわれています。また、各種研究において眼の健康を維持するためには1日当たり6mg以上のルテインを摂取するのが望ましいとされていますが、食品でこの量を摂取するには、ほうれん草の場合は4束分、にんじんの場合は10本分にあたります。サプリメントによる摂取も効率的であるといえます。

目の老化

目は、起きてから寝るまで働き続け、また、無防備に様々な外界の刺激を受け続ける「むきだしの臓器」といわれます。また、小さい器官にも関わらず、多くの血液を必要とします。睡眠不足や疲れ、ストレスがたまると血流が悪くなり、ピントが合わせづらくなることがあります。また、目は多くの酸素を必要とするため、酸化ストレスを受けやすくなります。酸化ストレスは、目の老化や眼病を進めます。ピント機能が弱った老眼をはじめとして、眼球内の水晶体の細胞が変性する白内障や、緑内障、黄斑変性症など、様々な目の病気があります。大切な目を保護するためにも日頃から紫外線対策、ブルーライト対策、目の栄養素「ルテイン」をはじめとした抗酸化物質の補充が必要とされます。

以下は高齢者の失明原因となる3大疾患(参考)
<黄斑部変性症>
黄斑部は網膜の中心部に存在し、レンズの役割を持つ水晶体を通して入ってくる光を直接受ける小さな斑点の集まりで、映像を結ぶ中心的な役割を果たしています。黄斑部には光を識別する光受容体と呼ばれる細胞が何百万個も存在し、映像を識別しています。光によって発生した活性酸素によって黄斑部の細胞が酸化され、細胞が破壊されると、視野が部分的に欠けたりぼやけたりし、欠落が進行していくと失明に繋がります。
<白内障>
白内障は水晶体のたんぱく質が活性酸素によって酸化し、白く濁るためにものが見えづらくなる病気です。65歳以上では6割~7割の有病率といわれています。
<緑内障>
日本の失明原因の第一位で、40歳以上の有病率は5%といわれます。主に、眼圧が高くなることにより視神経に異常をもたらすとされ、視野の欠け、視野が狭くなるのが特徴です。進行がゆるやかなため見過ごされやすいともいわれます。

活性酸素<参考>

呼吸で取り込まれた酸素は、生きていくための代謝を促進しますが、その過程で、酸素の中の数%ほどが、他の分子と結びついて反応性の高い化合物「活性酸素」に変化します。この活性酸素は、体内に侵入した細菌などの異物を攻撃したり、体内の酵素反応を促したりするなど、生命を維持するのに大切な役割を果たします。しかし、酸化力が強いため、過剰に発生すると、正常な細胞を攻撃し細胞の損傷をおこしてしまいます。
体内で常に活性酸素が発生する中で、このバランスを維持できるのは、体内に防御機構として抗酸化機能や、細胞修復機能が備わっているからです。しかしながら、防御できず活性酸素が過剰となった場合に、老化をはじめ、様々な悪影響をもたらすとされています。
活性酸素は、ストレスや紫外線・たばこ・化学物質全般などが原因となって過剰発生するといわれています。健康に悪影響を及ぼす代表的な活性酸素はスーパーオキシド、一重項酸素、過酸化水素、ヒドロキシラジカルの4種類に分類されます。
スーパーオキシドは、最初に発生する活性酸素で酸化力は弱く大量に発生します。これを前駆物質として、他の3種の活性酸素に変化します。ヒドロキシラジカルは最も酸化力が強く、紫外線、金属などの影響で発生します。

抗酸化物質<参考>

抗酸化物質「SOD」(スーパー・オキサイド・ディスムターゼの略)は、体内で過剰となった「活性酸素」を取り除き無毒化してくれる「体内酵素」です。活性酸素スーパーオキシドを酸素と過酸化水素水に変え、無害化します。タンパク質が主成分で、マンガン、銅、亜鉛が補酵素として作用します。
ほかに体内で作られる抗酸化物質として、グルタチオンベルオキシターゼ、グルタチオン、カタラーゼがあります。体内で作られるSODは、加齢により生成量が減少するといわれ、野菜や果物がもつSODを補うことも必要です。ビタミンやポリフェノール、カロチノイドも抗酸化作用に大きく役立ちます。

活性酸素」とこの「抗酸化酵素・抗酸化物質」のバランスによって、私たちの健康が保たれていますが、昨今は、紫外線、環境汚染、食品添加物、ストレスなどの外的要因により活性酸素の発生が過剰になっています。体内酵素SODの働きだけでは、過剰な活性酸素に追いつかない状態といわれます。ビタミン、ポリフェノールなど抗酸化物質を含む食品を積極的に取り入れ、カラダの酸化<サビつき>を抑えることが必要です。

<抗酸化物質が活性酸素に作用する模式図(参考)>


 

この他にもたくさんの抗酸化物質が存在します