オリゴ糖

オリゴ糖は、糖質のうち、最小単位である単糖(ブドウ糖・果糖など)が3個~数個が結合したもので、小糖類ともいわれます。オリゴとは、ギリシア語で少ないを意味します。
ヒトの母乳中には、130種類ともいわれるオリゴ糖が存在するといわれ、感染防御、腸内細菌の育成に役立っているといわれています。

▶オリゴ糖の種類

オリゴ糖は、動植物からの天然由来のものや、化学的に糖類を分解、結合して得たものなどがあります。
オリゴ糖製品として代表的なものとして、「イソマルオリゴ糖」「フラクトオリゴ糖」「ガラクトオリゴ糖」「大豆オリゴ糖」などがあります。

イソマルトオリゴ糖は、はちみつに含まれる天然成分で、ほかに味噌、醤油などの発酵食品に含まれます。製品としては、トウモロコシなどから作られます。

フラクトオリゴ糖は、ゴボウ、タマネギ、トマト、バナナなどに含まれ、特に南米原産のヤーコンの塊根の糖質は、デンプンではなくフラクトオリゴ糖であり圧倒的な含有量を誇ります。製品としては、ショ糖(砂糖)から作られますが、ショ糖よりもカロリーが低く、低カロリーの甘味料として利用されます

ガラクトオリゴ糖は動物性のオリゴ糖で、母乳や牛乳に含まれます。製品としては、乳糖から作られます。そのため乳製品アレルギーのあるかたは注意が必要です。

大豆オリゴ糖は、大豆やマメ科植物に含まれます。製品としては、大豆から抽出して作られます。

▶オリゴ糖の働き

◇オリゴ糖は、胃や腸で消化されにくいものが多く、大腸にそのまま届いてビフィズス菌など善玉菌のエサとなり、結果的に善玉菌を増やすことにつながります。この作用を「プレバイオティクス」といいます。オリゴ糖は、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を良い方向に保つとして、オリゴ糖添加の食品も多くあります。
※「プレバイオティクス」については、「乳酸菌と腸内フローラ」もご参照ください https://calseed.co.jp/wellness/lacticacid/
なお、このエサになる割合を資化率といいますが、オリゴ糖の腸内資化率は75~100%に分類され、大変効率よく働きます。

◇オリゴ糖は、口内で虫歯菌のエサとなりにくいため、虫歯になりにくい甘味料としても使われます。

◇オリゴ糖は、消化されにくいため、食後血糖値に影響しないとされ、糖質対策としても注目されています。

ビフィズス菌を増やすオリゴ糖は、赤ちゃんの粉ミルクの研究から始まりました。粉ミルクは各メーカーにより日々研究開発されていますが、現在の粉ミルクは赤ちゃんに大切なビフィズス菌を育てるオリゴ糖が十分配合されているといいます。

オリゴ糖の製品化

オリゴ糖は、天然のものは多くないため、工業的に大量に生産されるデンプン、ショ糖(砂糖)を原料とし、酵素を利用した技術開発等によってオリゴ糖も生産されるようになりました。砂糖に比べると甘さが少なくカロリーが低い特徴を生かして、砂糖のかわりの甘味料として様々に製品化されています。また、昨今の腸活ブームから、飲料、お菓子など様々な食品への添加、サプリメントとしても多く利用されています。
ヤーコンの塊根 

イヌリン

イヌリンは、糖質のうち、ブドウ糖に果糖が多重結合した多糖類ですが、デンプンとは異なり、胃や腸で分解されず大腸の腸内フローラによって代謝されるため、食物繊維という分類をされます。キク科の植物の根や地下茎、塊茎などに貯蔵されています。イヌリンの名称は、キク科オグルマ属(=イヌラ)から抽出されたことより由来しています。

▶イヌリンの働き

◇イヌリンは、胃や腸で消化されず、大腸にそのまま届いてビフィズス菌など善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす「プレバイオティクス」の働きがあります。また、イヌリンの腸内資化率は100%といわれています。

◇イヌリンは、胃や腸で消化されないため、食後血糖値に影響しないとされ、糖質対策としても注目されています。

◇イヌリンは、腸内で発酵分解されるとフラクトオリゴ糖になります。

◇イヌリンは、胃腸内で水分を吸収してドロドロとしたゲル状になる水溶性食物繊維で、腸内をゆっくり移動し満腹感を保ち、また糖質であるが低カロリーのため、イヌリンを含む食品はダイエット食品としても注目されています。

▶イヌリンを含む野菜

・キクイモ
・ごぼう
・にんにく など

※キクイモは、北米原産で日本には江戸時代末期に伝来したといわれています。塊根を食用とし、含まれる糖質はデンプンではなくイヌリンです。ナマのキクイモはあまり食卓にのぼることのない野菜ですが、最近は時々店頭販売もみかけられるようです。カロリーが低く、味にくせがないため気軽にサラダや炒め物、味噌汁、キクイモチップスなどで食することができます。(キクイモのシーズンは11月~1月頃)
 キクイモの花  キクイモの塊根

▶イヌリンとフラクトオリゴ糖

化学構造的には、どちらもブドウ糖+果糖に、果糖がいくつ結合しているかの違いになります。
少ない結合=フラクトオリゴ糖、多重結合=イヌリンとなり、イヌリンが腸内で分解されるとフラクトオリゴ糖になります。よって、それぞれの性質や働き方も似かよったものとなります。